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1. イントロダクション
最初に、このアニメを見たのは大学1年生の頃でした。まだ当時サブスクもなく、友人とレンタルDVDで借りて、一緒に見たのを覚えています。
最初に見た感想は、「納得いかない」でした。ちなみに、友人は「トラウマ級のショック」と言ってました(笑)
それでも、なぜか定期的に観たくなる作品として、どこか呪いのように、今もいろんな人の心に残る作品になっています。
秒速5センチメートルを作った、新海誠監督は、その後、「君の名は。」で日本に知れ渡るアニメーション監督になりましたが、今も秒速5センチメートルが一番の名作という声も多いです。
「秒速5センチメートル」は、2007年に公開された日本のアニメーション映画です。
この作品は、その美しい背景画と繊細な感情表現、そして切ない物語展開で多くの観客を魅了しました。しかし同時に、「呪い」という言葉とともに語られることも少なくありません。
なぜこの作品が人々の心を捉えて離さないのか、そしてなぜ「呪い」と呼ばれるほどの影響力を持つのか。本記事では、「秒速5センチメートル」の魅力を深く掘り下げながら、この作品が持つ独特な影響力の秘密に迫ります。
「秒速5センチメートル」は、3つのエピソードから構成されています。各エピソードは、主人公・遠野貴樹の人生の異なる時期を描いています。
1. 桜花抄(おうかしょう)
舞台は1990年代初頭の東京。小学生の貴樹と篠原明里は親友であり、お互いに特別な感情を抱いています。
しかし、明里の転校により二人は別れることになります。貴樹は雪の降る夜に電車に乗って明里に会いに行きますが、その様々な困難を乗り越えた再会は儚いものでした。
絵に描いたような青春のプロローグが語られ物語は進んでいきます。幼少から少年期の透明感満載の序盤は、あっという間に引き込まれます。
タイトルになっている秒速5センチメートルとは何かも分かります。
2. コスモナウト
時は流れ、中学生になった貴樹は親の転勤で鹿児島に住んでいます。彼は明里との思い出を胸に秘めながら日々を過ごしています。一方、クラスメイトの澄田花苗は貴樹に想いを寄せていますが、貴樹の心の中にある「誰か」の存在に気づいています。
「出す宛のないメールを打つ癖がついたのは、いつからだろう」という貴樹の台詞も切ないです。
何より澄田の透き通った恋心が、貴樹に否定されず、かといって完全に受け入れられずという距離感が、心がぎゅっと掴まれた気分で、見ていられなくなっていきます。
社会人となった貴樹と明里。東京で働く貴樹は、日々の生活に疑問を感じながら過ごしています。
ある日、電車の踏切で貴樹と明里がすれ違いますが、お互いに気づくことはありません。最後のシーンでは、貴樹が振り返ったときには既に明里の姿は消えていました。
ここが、内谷の友人いわく、トラウマポイントだそうです(笑)初見だと「え?これで終わり?」という風に感じる人もいると思います。
大人になった今でも、貴樹に救いがあってほしいと願うシーンでした。
この物語は、時間の経過や距離とともに変化する人間関係、成長に伴う喪失感、そして叶わぬ恋の切なさを繊細に描き出しています。タイトルの「秒速5センチメートル」は、桜の花びらが落ちる速度を表しており、儚い恋の象徴となっています。
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主題歌「One more time, One more chance」は、シンガーソングライターの山崎まさよしによって歌われています。
この楽曲は1997年にリリースされたものですが、「秒速5センチメートル」の主題歌として使用されたことで、再び注目を集めました。
このアニメのための書き下ろし何じゃないかな?と思うくらい、マッチした曲になってます。
この歌は、主人公たちの心情を見事に表現しています。失われた恋を取り戻したいという切ない願い、そして希望を捨てきれない気持ちが歌われています。
楽曲は映画のエンディングシーンで使用され、東京の街を歩く貴樹の姿と共に流れます。メロディーと歌詞が、観客の感動をさらに深め、作品の余韻を長く引き伸ばす効果をもたらしています。
秒速5センチメートルと検索すると、呪いというワードが出てきます。この作品のストーリーには似合わないワードですが、これは、理由があると考えられます。
「呪い」と呼ばれる理由は、主に以下の点にあると考えています。
作品の切ない恋愛描写が、視聴者の現実の恋愛観に強い影響を与えます。
「初恋は実らない」「距離が離れると気持ちも離れていく」といった悲観的な見方を植え付けてしまう点です。
これが、内谷もそうですが、誰しも少なからず経験があるからこそ感情移入してしまうのではないでしょうか。
思い出が輝いているからこそ、過去の思いが真剣だったからこそ、呪いとなって今の自分の行動が縛られることってあるんだと思います。
今となっては、貴樹の気持ちが少し分かった気がします。
また、貴樹が経験する喪失感や孤独感に強く共感することで、過去の恋愛や友情の喪失を経験した人には、より強く響く傾向があります。
「呪い」という表現は、決してネガティブな意味だけではありません。それは作品の強い影響力と深い感動を表す言葉でもあります。
多くの視聴者が、この作品を通じて自己の内面と向き合い、人生や恋愛について深く考えるきっかけを得ています。
a) 映画館 リバイバル上映:
「秒速5センチメートル」は、時折映画館でリバイバル上映されることがあります。これは作品を最も理想的な環境で楽しむ方法です。2024年3月に、全国の映画館でのリバイバル上映があったらしいですが、8月現在は終了しています。
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b) 配信 DMMTVなど:
オンライン配信サービスを利用すれば、いつでも手軽に視聴することができます。
- 主な配信サービス:
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- U-NEXT
- メリット:
- 時間や場所を選ばず視聴可能
- レンタルや購入の手間が省ける
- 高画質での視聴が可能(サービスによっては4K対応も)
各配信サービスで視聴可能かどうか、料金体系などは事前に確認することをおすすめします。また、無料お試し期間を利用するのも良いでしょう。
リンク
漫画版「秒速5センチメートル」は、アニメ映画を原作としていますが、いくつかの重要な違いがあります:
1. 詳細な心理描写:
漫画では、登場人物の内面をより詳しく描写しています。登場人物の心の動きが、モノローグやナレーションを通じてより深く表現されています。
特に、第2章コスモナウトでは、澄田の想いと、貴樹の想いのすれ違いが描写されていて、映画では分からない機微が描かれています。
2. エピソードの拡張:
映画では時間的制約から省略されていた部分が、漫画では補完されています。
特に、第3章の秒速5センチメートルの部分は、貴樹の過去の真剣な想いに縛られる葛藤、社会人になってから付き合っている女性、水野理沙との出会いや最後の別れシーンまで、丁寧に描かれています。
3. 新たなシーンの追加:
漫画オリジナルのシーンが追加され、物語に厚みを与えています。貴樹の大学生活や、社会人になってからの日常がより詳細に描かれています。
個人的には、アニメでは当然描かれていない、同級生の、貴樹の女の扱いについて苦言を呈している部分が、アニメでは描かれていない、空白期間の貴樹の女性遍歴が垣間見えて面白いです。これも、明里に対する真剣な想いの反動ですが…。
4. エンディングの解釈:
漫画版では、エンディングの解釈に若干の違いがあります。映画版よりも希望的な要素が含まれており、貴樹の将来に対する前向きな姿勢が示唆されています。
映画を最初に見たときの「納得いかない」という気持ちでしたが、漫画版を読んだときに、「これだよこれ!」と内谷の心を掴んだエンディングになっています!
漫画版の解釈も、また評判の高い作品になっております!
5. ビジュアル表現の違い:
漫画ならではのコマ割りや表現技法を使用し、登場人物の感情や場面の雰囲気を表現しています。新海誠監督の美しい背景画は、漫画家の筆致で再現されていますが、独自の魅力も加えられています。
アニメ映画と漫画、それぞれのメディアの特性を活かした表現がなされており、双方を楽しむことで作品をより深く理解することができます。
まとめ
「秒速5センチメートル」は、その美しい映像と深い感動を与える物語で、多くの人々の心を捉えて離さない作品となっています。同時に「呪い」と呼ばれるほどの強い影響力を持つ作品でもあります。
この「呪い」は、決してネガティブなものだけではありません。それは作品の魅力の裏返しであり、観る人の心に深く刻まれる証でもあります。恋愛や人間関係、成長と喪失といったテーマを通じて、私たちに自己の内面と向き合う機会を与えてくれるのです。
以前に観たことある人も、大人になってから視聴すると違った見え方がするかもしれません。
作品の解釈は人それぞれです。アニメ映画や漫画を通して、自分自身の経験や感情と照らし合わせながら、じっくりと作品と向き合ってみてください。そうすることで、あなた自身の人生や価値観について、新たな気づきが得られるかもしれません。
この機会に、ぜひ一度作品に触れ、あなたにとってこの物語がどのような意味を持つのか、深く考えてみてください。そして、作品から得た感動や気づきを、あなたの実生活にも活かしていけることでしょう。